介護や看護の現場で働く職員が、利用者らから受けるセクハラ被害が後を絶たない。労働組合や国の調査では、介護職員の約3割が被害を経験し、訪問看護では5割を超える。薬物を使った悪質なわいせつ事件も相次いでいる。国や自治体は対策を打ち出しているが、費用や人員に限りがある中、各事業所での対応は遅れがちだ。
◆スープに睡眠薬
「女性と接する機会がなく、触りたい衝動を抑えられなかった」
法廷でそう述べた男(79)は今年2月18日、神戸地裁で懲役2年6月の実刑判決を受けた。罪名は準強制わいせつ。昨年12月、点滴や問診で自宅を訪れた30歳代の女性看護師に、睡眠薬を混ぜたスープを飲ませ約10分に及び体を触っていた。
被害女性は法廷で「恐怖心と怒りで、忘れたくても忘れられない」と涙ながらに意見陳述。判決で裁判官は「訪問看護の現場に少なからぬ不安を与えた」と男を指弾した。
同種の事件はほかにもあり、さいたま市では今年7月、訪問介護の女性を脅し、体を触ったとして利用者の男(83)が埼玉県警に強制わいせつ容疑で逮捕された。
◆泣き寝入り
介護職員らの労働組合「日本介護クラフトユニオン」(東京)が2018年に実施した調査では、回答した2411人のうち29・8%の718人が「不必要に体に触れる」などのセクハラ被害を経験していた。
厚生労働省も18年度、「通所介護」「介護老人福祉施設」など従事する12種のサービス別に被害を調査。被害を受けた職員の割合は12種すべてで30%を超え、「訪問看護」が53・4%と最も高かった。
クラフトユニオンによると、介護現場は、入浴や 排泄 はいせつの介助など接触を伴う業務が多い。相手が高齢者や病人で、被害職員や事業所が強く抗議しにくい面もあり、セクハラが起きやすく、防ぎにくいという。
17年前から川崎市の老人ホームで働く介護職員の女性(39)は、「被害に遭っても我慢が当たり前との雰囲気がある」と話す。
約10年前、老人ホームに入る80歳代男性から約2年、排泄や入浴の世話のたび、わいせつな言葉を浴び、体も触られた。上司に相談しても「病人だから」と取り合ってもらえなかった。
19年に異動した別の施設でも、計3人の男性から胸を触られるなど被害を受けた。報告を受けた事業所は男性らに注意したが、すぐ元に戻り、今も日常的にセクハラが続いているという。
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https://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/life/20200830-567-OYT1T50132.html
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