ナインティナインの岡村隆史による、コロナ禍で美人風俗嬢が増えるというラジオでの発言が炎上。一方、この発言を特に熱心に叩いていた“社会活動家”藤田孝典氏が、コロナ禍で性風俗店は補償がなかろうが休業しろと発言。さらに性風俗産業自体を廃止すべきと主張し、これまた炎上。性風俗には「搾取」「貧困」などの言葉をセットに語られるグレーな業界というイメージが根強い。これに対して、セックスワーカーが安全・健康に働けることを目指して活動するグループSWASHの代表を務める要友紀子氏は異を唱える。
金銭を支払えば、誰にでも公平に性的なサービスを提供してくれる、性風俗従事者の人々。自力では性欲解消になかなか辿り着くことのできない人々はもちろんのこと、彼女や彼氏といった決まったパートナーがいても、「プロのテクニックを味わいたい」「パートナーとは、試せないプレイをしてみたい」と望む人たちにとっても、性風俗従事者たちはなくてはならない存在だ。しかし、そのサービスを享受することに、後ろ暗さを覚えるとまではいかずとも、「お金を払うからといって、見知らぬ人に性器を舐めて咥えてもらっていいのか」と問われると、「なにひとつ問題はない」と、堂々と胸を張っては言いにくいのではないだろうか。最近はセックスワークの是非をめぐって、人権の観点から議論されることも多いが、実際に風俗の現場で働いている人たちは、性風俗という自らの仕事について、どう考えているのか。セックスワーカーの健康と安全のために活動するグループ『SWASH』の代表を務める要友紀子氏に話を聞いた。
風俗店を利用する上で、もっとも気になるのが、彼女/彼らは果たして、本当に好きで働いているのかということ。借金のカタだったり、ヒモに強要されてだったり、また貧困によって、自らは望んでいないにも関わらず、働かされているのではないかという疑いは、払拭しきれない。これに関して、要氏は、それぞれのケースを一緒くたにせずに丁寧に見ていくことが重要だという。
「例えば、借金があって風俗で働くというケースですが、風俗で働いて返せばいいというつもりで作った借金なのか、それとも風俗で働いてからできたものか、親族の病気だったりで、やむを得ずに出来た借金なのかで、まったく違いますよね。だから、『借金のために、嫌々風俗で働かざるを得ない』というのは乱暴なまとめ方です。ヒモに『稼いでこい』と言われて働かされている子がいるという話も、よく言われてますが、パートナーの要求に応じて、嫌なのに働くこと、彼氏/彼女の言いなりになってしまっているということは、セックスワークではなく、共依存の問題。セックスワークではない職業でなら、言いなりに働かされ、搾取されていいわけでもない。恋人の言いなりになっちゃダメだよねという話です」
こうしてつぶさにひとつひとつ、解いてもらうと、望んでないのに性風俗店で働かざるを得ない人がいる、という問題の根本は、性産業そのものではなく、別のところにあることがわかる。
が、そうはいっても、性産業には、ある種のいかがわしさ︱︱女衒のような存在が、中間搾取をしているのではないか︱︱という印象もつきまとう。アダルトビデオの出演強要問題が世間を賑わせたこともまだ記憶に新しいが、性風俗産業には、そういった構造はないのだろうか。 「そういうケースもあります。けれども、事件化するほとんどは、ホスト・スカウト絡みやJKビジネス、外国人の働く裏風俗、ツイッターやLINE、出会い系でお客さんを見つける個人売春といったアンダーグラウンドで起こっていることです。犯罪は不可視化されたところで起きるので、合法的な領域の“適正風俗”では人身売買は、ほぼない。一方でアンダーグラウンドは違法なので、つけこまれて『バラすぞ』とか『写真撮った』と脅されるリスクがあるし、見守る人もいない。合法とされている場をなくすと、むしろ働く人たちへの危険は増えてしまうんです」
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